修復

修復:神経紋扼による臀部や足の痺れ

こんにちは😊

今回は、股関節周囲の末梢神経絞扼による痺れです。

0.痺れケアにあたっての注意点

末梢神経絞扼は、脊髄から出た神経は四肢である末梢に伝わっていきますが、末梢神経が支配する領域に達する前までの間で、筋肉や筋膜、靭帯や他組織の途中で神経が締め付けられることによって起こる痺れや痛みのことを指します。

この投稿では、痺れの現れる場所とその場所はどの神経支配なのか、を記載していきます。痺れが現れる、ということはその辺りを支配する皮膚神経がどこかしらで絞扼されている、と言えます。神経は分岐し四肢末端に広がるのでピンポイントでどこの絞扼によるものか、は特定しにくいですが支配領域からある程度は絞れるかと思うのでケアの参考になるかと思います。

ただ、注意点として頭に入れておいて頂きたいのが、痺れが起きている神経の絞扼部位を特定できてもその絞扼部位の筋肉や筋膜を硬くさせている要因が別にある可能性がある、ことです。単純に絞扼部位だけを緩めて整えればよい、という話ではない可能性がある、ということですね。これは神経絞扼由来の痺れに限らず、他の痛みにおいても同じことが言えます。

筋肉には対となり働く筋肉もありますし、一つの動きや姿勢保持に対しても複数多数の筋肉が連鎖して働くことで成り立ちます。と、言うことは。一つの筋肉が単体で使われることがない、一つの筋肉が単体で硬くなることもない、と言うことでもあるのです。運動連鎖については他投稿で高頻度で何かしら書いていますのでご参照ください。例えばコチラとか↓。

この投稿をお読み頂き、ご自身の絞扼神経や部位が大まかに見当が付いたとしても、その場所“だけ”整えれば症状が無くなる、わけでは無い、ことを予め頭に入れておいて欲しいのです。

身体は全身繋がっている、要因にも、その要因の要因がある可能性があるので部分的に整えるのではなく「全身を整える」ことを視野に入れて一部分に囚われないようにして貰えればと思います😊

では、本題に入っていきます🙋‍♀️

1.下肢の皮膚神経支配領域

脊椎から下肢に走行する神経は、下記画像のように脊椎からそれぞれ幹となる神経が出て、そこから分岐して末端まで走行します。

これらの神経が分岐しながら筋肉や皮膚に分布し、動きや感覚面において脳や脊髄と連携を取ります。皮神経分布は下記の様になります。

 

①太もも前〜膝下内側の皮神経分布

まずは、大腿神経の皮膚分布域です。全面ではありませんが、概ね太もも前面と言えるかと思います。あとは膝下内側ですね。一般的には大腿神経の圧迫はまれですが稀に鼠径部を通るため、滑液包の肥厚により神経絞扼が引き起こされることがあります。

大腿神経

大腿神経は腰椎の2.3.4から出て骨盤の前を通り、鼠蹊部を通過して太もも前側を走行します。さらに分岐しそのうちの一つが伏在神経に分岐していきます。筋肉で言えば、大腿神経は腸骨筋、大腿四頭筋など前側の筋肉を支配する神経です。

【引用:ネッター解剖学アトラスp.520】

②臀部〜太もも裏の皮神経分布

次に、臀皮神経と後大腿皮神経分布です。臀部から太もも裏ですね。

上臀皮神経

その中でも上臀皮神経は下図にもあるように腸骨稜を越える位置で胸腰筋膜を貫いて表層に出てきます。皮神経、ともいうくらいなので皮膚を支配する神経ですね。胸腰筋膜は腰の張り感に最も影響しうる筋膜と言ってよいので、そこを貫いて走行する上臀皮神経は絞扼の可能性が高まり、上臀皮神経の神経絞扼は全腰痛患者の1.8〜13%と言われておりメジャーではないものの一般的にも起こり得る絞扼と言われています。

【引用:あたらしい人体解剖アトラスp.89】

上臀皮神経による神経絞扼は、臀部痛や足の痛みを呈することあり、“いわゆる腰痛”、腰椎疾患と誤認する方が多いと言われています。ですが、上臀皮神経の神経絞扼が要因であった場合、身体の浅い部分での絞扼となりますので、臀筋群や臀部の皮膚、筋膜などの柔軟性を回復させることで症状が軽減されることも多いです。

上臀皮神経の絞扼により、臀部痛や、絞扼部でもある腸骨付近の胸腰筋膜に圧痛を感じます。症状は腰椎疾患による痛みと似ており、腰を動かした際に絞扼部に負担がかかることにより痛みが生じます。後ろに反る、腰を捻る、体幹を横に倒す、起き上がり、座位、立位、長時間の立位・歩行、寝返りなどにより痛みが増悪します。間欠性歩行も呈することがあり(間欠性歩行:少し歩くと、足が痛くなったりしびれたりすることで歩けなくなり、少し休むと、また歩けるようになること)脊椎管狭窄症との区別も必要になる神経絞扼です。

神経自体の問題ではなくあくまで絞扼ですので、外傷などではない限り突然に歩けなくなるほどの痛みが起こるわけではありません。日常生活上の使い方や姿勢由来の絞扼であれば、必ず、違和感や時折気になる程度の痛みから始まります。その際に痛み止めで誤魔化して絞扼部分を根本解決せずまま放置しまうと、硬さ、絞扼がどんどん蓄積され、歩けなくなるほどの痛みに到達してしまうこともあります。

程度に関わらず、痛みや痺れを感じたら要因を突き止めることと、そのための対処症状が改善されたら再び起こさないよう対策を立ててご自分の身体をご自身で管理できるようにすると「安心」をご自分で作れますよ😊

 

③内もも中央

次は、閉鎖神経の皮神経分布です。内側のももの丁度内側ですね。縦長楕円のような分布です。筋肉による閉鎖神経の絞扼は稀ですが、過酷なスポーツをされている場合に内転筋群の運動と関連した閉鎖神経の絞扼は起こる可能性があります。

閉鎖神経

閉鎖神経は腰椎2.3.4からはじまる神経で骨盤の前は通らず裏を通り太もも内側を走行します。筋肉で言えば、内転筋群を支配する神経ですね。

【引用:ネッター解剖学アトラスp.521】

④膝下脛外側、ふくらはぎ外側、足甲、踵足底

最後に、坐骨神経由来の皮神経分布です。坐骨神経の神経絞扼は下肢における神経絞扼では最も多いですね。

坐骨神経

坐骨神経は腰椎4.5仙骨1.2.3からはじまり、骨盤裏を通り後面を走行する神経です。坐骨神経と隣り合わせで後大腿皮神経も走行します。後大腿皮神経は太もも裏の皮膚神経を支配しています。

【引用:ネッター解剖学アトラスp.522】

坐骨神経が分岐し、総腓骨神経、脛骨神経となり下肢末端まで走行します。

【引用:ネッター解剖学アトラスp.524】

【ネッター解剖学アトラスp.523】

 

坐骨神経が神経絞扼として最も多い理由としては、よく知られているように骨盤裏へと走行する経路で梨状筋と、上下双子筋・内閉鎖筋の間を通るため筋肉と筋肉に挟まれて絞扼してしやすいからです。下記画像のように神経の走行の仕方は人によって異なり梨状筋の間を通る場合などもあります。

また、仙骨のすぐ横から出て裏側へと滑走するために、仙骨を倒して筋肉を使わず座り続けることにより骨と座面とで圧迫され続けることになるので絞扼が癖になってしまい長年痺れが起きている方も少なくあリません。

坐骨神経の神経絞扼要因は、梨状筋が多いとされていますがそれだけでもありません。梨状筋以外の閉鎖筋の内閉鎖筋・双子筋・大腿方形筋による絞扼、臀筋群やハムストリングによる絞扼なども有り得ます。

 

2.神経絞扼による痺れや痛みを感じたら

絞扼になる要因としては、筋肉の過緊張や浮腫、圧迫、癒着、外傷、オーバーユースなどにより神経にストレスがかかって生じます。痺れであれば神経絞扼とすぐわかるかと思うので、皮神経分布域を参考にどの神経が圧迫されている可能性があるのか画像を見ながら検証してみてください。

ある程度ここかな、とわかったら、その部位がなぜ公約されているのか特定する必要がありますね。単純に姿勢崩れによる圧迫であれば圧迫を回避できる手立てをとると改善されるかもしれませんが・・そうは問屋が卸さないと言いますか、そんな単純になくなることの方が少ないと思います^^;

軽くストレッチをかけたり、軽く皮組織や筋肉をほぐすことで改善が見られれば”やりすぎない様に”ケアを続けて頂ければ少しずつ緩和される可能性もあります。緩むためには同時に再び絞扼する要因動作や姿勢を極力避ける、もしくは筋力で姿勢を保持する、ことは必須です。

ですが。

1-2週間以上ケアしているけれど改善が見込まれないのであれば詳細な評価を受けることをお勧めします。数ヶ月、年単位で続いている場合はすぐ評価を受けて要因を断定することをお勧めします。

持続的な神経の絞扼、圧迫ですからね。そのまま放置してよいとは言えませんし、いつ悪化するかもわかりませんし、痺れを超えて皮膚感覚の悪化に繋がることもありますし力が入りにくくなってしまうこともあり得ます。鎮痛薬はあくまで痛みを感じなくさせるだけ、です。根本解決ではありません。飲み続けているけれど、症状に変化がない方の方が多いと思います。気休めに薬を飲み続けるのであれば、要因を特定して取り除いていく方が身体のためにはよいかと思いますよ😊

末梢神経絞扼はなかなかすぐに、バスっ!と改善変化が現れないこともあるのでもどかしいですが、末梢神経絞扼は身体の使い方や姿勢など日常生活に起因して起こることが圧倒的に多いですので早期対処により改善の見込みは大いにあります。痺れ・・・一度出ると少しの痺れでも気になりますし、目の前のことに集中しきれませんよね💦私も経験者ですのでよくわかります^^;

長引かせる前に、今後の対策・身体創りも併せてご相談くださいませ😊根本解決と共に、再び神経絞扼になりにくい身体を創っていきましょう✨

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