修復

修復:上臀皮神経絞扼による放散痛

こんにちは😊

今回は、以前神経絞扼による痺れについて書きましたが、その中でも上臀皮神経の絞扼について取り出して書いていきます。

 

1.下肢の皮膚感覚帯

神経は、脊髄を経て幾つか分岐しながら下肢、末端へと走行していきます。

神経の中でも、筋肉支配神経だけでなく、皮膚神経支配もあります。前者は深部感覚を支配する神経で、後者は表在感覚を支配する神経ですね。

表在神経には、痛覚・触覚・温冷覚があり、これらを支配する神経が絞扼されることにより痛み、表題にも書いた「放散痛」を感じます。感覚としては“表層の痛み”と言った方が分かり良いでしょうか。動きの制限であれば外から分かりますが、「痛み」は外から見えないために主観に頼ることにもなります。ですが、皆様お選びになる言葉は違えども表現されてようとしている痛みは「どんな要因による痛みか」を表すものかわかるものが多いです。

「中(深部)の痛み、というよりは表面の痛みの方が近い」

「表面を押すと痛みが緩和される気がする」

など、深堀してお聞きすると、それが何由来の痛みであるか大まかに把握することができるのです。(結構、時間をかけてこと細かくお聞きしますが😅)

今回の神経絞扼由来の痛みは、表層に感じる痛み、と言って良いかと思います。ですので、耐えられない訳ではないけれどしつこい感じの“じっとしていることが耐え難いと感じてしまう”痛み、という感じでしょうか。

そして・・・痛み止めが思うように効かない痛み、でもありますね。痛み要因が「絞扼」ですので効果は期待できないのですが期待はしてしまいますよね。湿布も勿論のこと効果は期待できません。薬や外薬では絞扼を除去できませんから💦

その皮膚神経ですが、下肢の末梢神経別にみた皮膚感覚の神経支配領域は下記になります。

痺れ、と一言で言ってもどの部位が絞扼されているか、により痺れを感じる場所は異なります。一箇所部分的に痺れが生じる場合もありますし、広範囲に痺れを生じる場合もあります。それは絞扼箇所の範囲次第、です。

 

2.上臀皮神経と胸腰筋膜

上臀皮神経が支配する領域は臀部ですね。

この神経、特徴的な神経で、先ほど触れた座位姿勢により絞扼されやすい走行している神経なのです。

その特徴が、胸腰筋膜を貫いて走行している、ということです。

胸腰筋膜とは、脊柱起立筋群や広背筋の筋実質と繋がり脊椎と骨盤に付着する筋膜で、胸部から腰部にかけて骨と筋肉を繋げています。この中でも、骨盤付近の胸腰筋膜は特に厚くなっており後方から支える働きを担っています。

 

3.上臀皮神経絞扼による放散痛とは

適度に動きがあり、長時間同姿勢が続かず、一部に負担のかかる姿勢を取り続けていなければ、本来は柔軟性を維持できます。ですが、生活習慣により、日々座位姿勢や立位姿勢でも偏った同じ姿勢を続けることにより胸腰筋膜の腰背部の柔軟性は極度に低下し硬くなります。

柔軟性が低下し、硬くなれば、この部位を貫通する臀皮神経は絞扼されます。

特に、上臀皮神経の神経絞扼による放散痛は全腰痛患者の1.8〜13%と言われておりメジャーではないものの一般的にも起こり得る絞扼と言われています。腰痛、と思って腰背部の筋肉の柔軟性の低下や血流不良だけかと思っていたら、神経絞扼による放散痛かもしれない、ということです。

 

上臀皮神経の絞扼により、臀部痛や、絞扼部でもある腸骨付近の胸腰筋膜に圧痛を感じます。

症状は腰椎疾患による痛みと似ており、腰を動かした際に絞扼部に負担がかかることにより痛みが生じます。後ろに反る、腰を捻る、体幹を横に倒す、起き上がり、座位、立位、長時間の立位・歩行、寝返りなどによっても痛みが増悪します。

間欠性歩行も呈することがあり(間欠性歩行:少し歩くと、足が痛くなったりしびれたりすることで歩けなくなり、少し休むと、また歩けるようになること)脊椎管狭窄症との区別も必要になる神経絞扼です。

軽い絞扼であれば、座位姿勢(股関節を曲げる)肢位をとると痛みが増し立位や足を後に伸ばす(股関節を伸ばす)肢位をとると痛みが緩和する、といった胸腰筋膜の圧迫を解放してあげると痛みが和らぐことが多いです。

また、座位姿勢により骨盤周囲に圧迫をかけている間は激痛ではないにしろ持続的に臀部から足にかけて触覚が軽く麻痺するような痛みが続くことも見分けられる要素と言えます。

※症状の出方は人により異なるので必ず生じる訳ではありません!

 

4.神経絞扼による神経損傷程度

神経損傷には“程度”があります。

【引用:標準整形外科学p.863】

軽い、短期間の絞扼であれば神経に損傷は起きません。

ですが、筋肉の弱化や柔軟性の低下、姿勢不良や長時間の同姿勢により神経が絞扼され続けた場合、神経自体にも損傷が起こる可能性もあります

神経絞扼による痛みや痺れが「すぐ症状が緩和しない」理由にこれがあります。滑走性不良や筋肉由来の痛みであれば引っ張られている根源が取り除かれれば症状が緩和されることが多いです。ですが、神経絞扼による痛みの場合、絞扼部位が緩み柔軟性が回復しても痛みが残ることがあります。

それが、神経の損傷です。損傷と言っても、感覚が麻痺するほどの損傷ではありませんので表面状の傷と言っても良いかと思います。それでも傷は傷です。傷があれば、表層の絞扼が取り除かれた後も傷が治るまで時間はかかります

絞扼部位の柔軟性が回復して、血流が復活して、その後も柔軟性が維持されて筋肉が頻回に動かされて都度血流が滞ることなく循環されることで少しずつ治癒していきます。ですので、神経絞扼による痛みは“焦ったい”痛みと言っても良いです。

その為には!何度も至る所で書いたり言ったりしておりますが、痛みが起きて1、2週間も続くようなら「これはちょっとおかしいかも?」と疑って頂く。その後放置したとしても3ヶ月です。それ以降は治癒が遅くなる、と思ってください。長引けば長引くほど治癒にかかる時間も長くなります。

気づいて、すぐ対処!これが鉄則です。

既に長年の痛みがある方は、今から対処を変えてみてください😊今気づいて頂けたので、これから起こる痛みは防ぐことができます。これから悪化する可能性も潰せます。知った時が吉日ですから✨

 

5.絞扼部位の圧痛を緩和する

上臀皮神経の神経絞扼が要因であった場合、身体の浅い部分での絞扼となりますので、臀筋群や臀部の皮膚、筋膜などの柔軟性を回復させることで症状が軽減されることも多いです。

重点的に柔軟性を回復させる部位は、大臀筋・胸腰筋膜ですね。他に、中臀筋、胸腰筋膜の柔軟性低下に関連する腹筋群ですね。

この部位の柔軟性を高めることで緩和を期待できますが、再び座位姿勢を繰り返せば再度絞扼は発生します。イタチごっこにならない為にも、周囲の筋肉や皮膚、皮下組織の柔軟性も回復させる必要があります。

持続的な軽減を狙って柔軟性を回復させたい部位は、広背筋・脊柱起立筋群・腰方形筋・腸腰筋・ハムストリング・内転筋群・大腿四頭筋・腓腹筋などです。

 

5.柔軟性の回復

柔軟性を回復させる為には、

頻回に伸ばし縮みする機会を作る!

これが最もやるべきことです。

マッサージガンやボールなどを使って振動や圧迫をかけるだけでは根本的な柔軟性は回復しません。

皮膚は、その下にある筋肉がどれくらい伸び縮みできるか、により柔軟性は左右されます。長時間臀部や足を動かさずにいて筋肉が縮んで(短縮)してしまうと、表層の皮膚も当然縮みます。縮めば神経を容易に圧迫します。

ストレッチも重要ですが、それだけでは不十分ですので、動いて筋肉を頻回に伸び縮みさせてあげてください。ストレッチは部分できに一時的に伸ばすことができこれはこれで重要なのですが、日々の使い方により血流が滞った筋肉には足りないのです。

繰り返し動かし筋肉を使ってあげることで、血流が促されて硬直した筋肉も回復しやすくなります。

長時間同じ姿勢を繰り返しがちな方からよくお聞きする言葉としては・・・

・伸ばすと痛い、から避けがち

・動くのが億劫なので動かないことが多い

・硬くなっていることにあまり気づかない

などですね💦

こればっかりは・・・施術者には管理できないのです😅日々の使い方やケアはご自身の意思で変えて頂くしかないのでしつこくらいに動いてください、伸ばしてください、とお伝えするしかないのですね。

億劫さと、痛みの持続、どちらを取るか、ですね🧐!

 

6.長期的な絞扼予防

正直なところ、全身は繋がっていますので一部の柔軟性回復では物足りないと言えます。

不良姿勢により過度に使われやすい筋肉はこれらの筋肉ですので、

これらの筋肉に負担がかからないように、且つ柔軟性を回復させながら、

これら弱化筋肉を強化していくことをお勧めします。

不良姿勢によるバランスの崩れを少しずつでも良いので身体全体を整えていくと根本解決になりますので、赤色の筋肉負担を軽減して青色の筋肉の柔軟性を回復させつつ強化することにより、絞扼の元となった柔軟性低下による圧迫を防ぐことができます。

座位姿勢も、取らないと仕事が行えない場合も多いはずです。それならば、座位姿勢に耐えうる筋力をつけ、長時間座位を続けた後に都度柔軟性を回復させてあげることで絞扼を防げますその姿勢をとらざるおえないのであれば、その姿勢をとっても問題ない身体を創っていい訳です😊

7.個人的に私のお気に入りケア

私も座り続けて作業をすることが多々あるので日々ケアをしています。そのケアの中で、気に入っているケアはこの道具です。

公式HP

ヘッドの部分が回転してマッサージするものなのですが、上記の公式サイトで様式を見て頂くとわかり良いのですが、皮膚や下部の皮下組織も一緒に摩擦を起こしてくれます。

これを、腰から骨盤の上端、臀部にかけて当ててあげると絞扼部である胸腰筋膜から臀部にかけての皮膚を動かしてあげることができます。

ボールを当てて圧迫をかけるのとは異なり、皮膚や皮下組織のみにアプローチすることができるので、絞扼されてから日が浅ければこういった道具でも柔軟性を回復させて絞扼を解消することも期待できます。

※長期に渡り絞扼されていると、柔軟性を回復させるにはこれだけでは回復しない可能性が高いです。これはあくまで表層組織の柔軟性緩和アプローチです。

知らなかったのですが、どうやらブラックも出ているようで。男性は勿論のこと、女性が持っていても格好いいですね✨

あとは、こちらも載せさせて頂きますね。

先ほども書いたように、長時間同じ姿勢を繰り返した分動きを引き出すことを前提として、道具を使って柔軟性を回復させることも一つの手立てとして、補助として取り入れてみて下さい。

※決して、これだけに頼らないでくださいね!動かす・伸ばす、その他にプラスαで取り入れて下さい。

28脚の前・後・外側を道具を使って筋膜リリース

122【ケア】太もも後側と外側を「手」で緩める

 

動画でご紹介しているケアは、

・痛みが生じて日が浅い方

・痛みが軽く、1日の内でも痛みを感じるのは時折

といった場合の方向けです。

セルフケアで改善できる痛みの程度、と言っても良いでしょうか🤔

日が経過した痛みは硬さが蓄積されているだけでなく、代償動作や偏った使い方により柔軟性が低下している箇所がその部位に限らず全身に渡っていることがあります。そうなっている身体をケアした際、一部だけケアをして柔軟性を回復させても他の柔軟性が低下している部位の影響で再び柔軟性が低下することはよく起こります。

痛みが繰り返している方も同様です。ケアをして一時的に改善されたのであれば、それで終わりにせずに、その次は全身に目を向けてケアを進めて全身を整えて行ってください。

全身となると・・・

セルフでは難しい面も出てきますので^^;その場合はご連絡くださいませ😊痛み要因部位を深部まで緩めて整えると共に、全身を整えて痛みの起きにくい身体を一緒に創りあげていきましょう✨

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