目次
0.五十肩について
五十肩別名、○○肩
五十肩は本当に悩ましい。何故って・・・突然なるから…突発的に、何も誘発要因もないままに・・・(゚Д゚≡゚Д゚)
もちろん肩関節の動きが少ないことにより筋肉が硬くなり、不動の結果の結果、とも考えられるのですが、研究結果からは解明しきれていないんです。
五十肩
ってそもそもなんぞや?
という感じですが、別名:凍結肩/癒着性関節包炎と名付けられています。なぜ五十肩と命名されたのかは資料などは見たことはないのですが、この呼び名の方が病態をイメージしやすいな、と私は思いました。
凍結・・・
いや・・・こっち?
炎・・こんな?
イメージ図
メモ【関節包】
この図は膝ですが、 濃い青い部分が関節包です。 濃いえんじ部分表面は滑膜と言い、 関節軟骨と共に関節腔と言って骨と骨の間に空間を作っています。 滑液(関節液)はこの中にあります。 |
症状
症状としては、
●自動的可動性(自分で動かす時)+他動的可動性(他者に動かしてもらった時) 双方の動く範囲の低下
●激しい疼痛です。
改善までの期間
原則:自然軽快します。多くの例が医学的介入なしに治癒されています。(ここで言う医学的介入とは、手術など何らかの処置を伴う介入です)
自然軽快と言っても、炎症は自然に治っていく、と言うことです。炎症が治ってからは、
・硬くなった筋肉が動く様になるまで待つ
・より早く動く様になる為に徒手療法を利用するかになります。
ですので、リハビリや整体は、改善スピードを早める為に行われます。継続期間はこれから書く経過周期によりますが、2〜3ヶ月から1年かかることも。症例研究によると、完全原状回復まで最大10年を要するとある結果もあります。(1997 warner)
突然起こるこの症状、一体原因は何なのでしょうか?
1.原因
タイプ
凍結肩には2タイプの型があり、
1:原発型
2:続発型 と分かれています。
原発型 | 続発型 |
糖尿病や代謝異常との関連が強い。
が、明確な原因研究結果は出ていない。 |
肩領域の疾患や損傷の既往がある場合。
手術歴がある場合。 |
2タイプあるものの、続発型の様に明確な根本原因がある場合以外は根本原因はわかっていません_| ̄|○
結果、多くの方は原因は明確にできないと言えます。しかしながら、どの様に進行し改善していくか、その際にどう対応すれば良いのか(治療方法)はわかっています。
私自身としては、研究結果からは明確な根本原因は出ていないのですが若年層に見られないことから、「不動」による影響は大きいのではないかと思っております。
職種にもよりますが、働き始めると圧倒的に肩関節、肩甲骨を動かす頻度が減るのではないでしょうか。腕を頭の上にあげる機会が日に何度あるか。一度もない人もいるかも?私も明らかに減りましたね(´-ω-`)…
そうして、動かす機会が減った筋肉・組織が硬くなり、積み重なり、何らかのきっかけで関節包に炎症が起こるのではないか、と思うわけです。突然炎症がやってくる!よりしっくりきますから。
とは言っても、動かしていてもなる人もいるはずなので、やはり何とも言えませんね(●´ー`●)
2.臨床症状と治療
痛みが突然起こると、三段階に分かれ状態が変化していきます。その期により治療も異なります。
a.第1期(凝固期)
びまん性滑膜炎+関節包炎
つまり「炎症」ですね。
運動を司るのは筋肉ですが、関節には関節自体を安定させるために滑膜・関節包含め、様々な組織が存在します。これらの組織が「炎症」を起こしてしまうんですね。
・主症状
主症状は、激しい疼痛(痛み)です。
安静時痛、夜間時痛もあります。
関節包が炎症により変化し、筋が硬くなり始め、肩関節の動きが低下します。
→腕を真横に上げようとすると、肩が上がってくる
→背中に手を持っていけない
→後ろポケットに入れたものを取れない
→常に肩を脇に引き寄せている など。
この期は、誘因なく(きっかけなく)、突発的に起こり、急激に進行します。期間は、2・3週間〜数ヶ月続きます。
・治療
主は、鎮痛剤・抗炎症処置による炎症鎮静です。冷却も効果があります。
この時期は安静第一です。炎症ですから。徒手療法は禁忌ですので、私にもこの期にできることは残念ながらないのです(T . T)
b. 第2期(凍結期)
第1期を過ぎると、何もしていなくても痛い夜間に激しい痛みが起こる、などの強い痛みが減ってきます。
この期の特徴は、関節包の炎症反応は治る・凍結しながら疼痛は軽減です。
この期に入ってくると徒手療法の出番です。
・主症状
主な症状は、可動域制限・時折起こる疼痛(何もしていなくても痛い、が減り、動かすと痛い状態になってきます)です。
可動域制限は、動く最終域で「かちっ」とした停止感を伴います。この期の特徴である凍結しながら、と言うのは第2期に入ると「修復」が始まるからです。
この「修復」こそが硬さを作る元なのです。何が行われているかと言うと。線維芽細胞・筋線維芽細胞と言われる細胞が増殖し始め、関節包の線維化が進みます。
メモ【線維芽細胞・筋線維芽細胞】
通常は休止中の細胞だが、傷修復の刺激を受けると活性化して分裂、線維を生み出す細胞。傷口を閉じ創傷収縮をする。 |
(・・?)
ざっくり言いますと、関節包を修復する為に外傷のカサブタの様に硬くなっていくと言うわけです。構造上、硬くはなります。ですが・・・
この時に、細胞が硬くなると一緒に筋肉も動かさなければもっと硬くなります。ここが長引くか長引かないかの分かれ道となります。
・治療
基本は徒手療法+自身で動かすことで動く範囲を広げていきます。
機関によって方法は異なると思いますが、私も筋を緩めながら動きを引き出していく方法で対応していきます。これはあくまでより改善を早める為、ですので徒手療法を受けずとも自身で動かし続けることによって改善される方もいます。重症の場合は手術適応となることもある様ですが、稀かと思います。
炎症が治ってきていますので、動かすと共に温めるとより良好です。
なぜこんなに動きが悪くなってしまうのか?その要因は腕と肩甲骨の関係にあります。肩と腕は動きを最大化する為に、ある程度腕をあげると腕と肩甲骨が分かれて動き始めます。しかしながら、関節包がやられて修復の為に組織が硬くなることで肩関節周囲の筋が動けなくなり次第に腕と肩甲骨が分かれて動けなくなり動ける範囲が極端に狭まります。
特に肩甲骨を安定させる為の筋肉は硬くなります。
安定させる為ですから使う出番が全くなくなるんですね。
二頭筋
三頭筋
も先端が肩甲骨に付着しているので影響をかなり受けますね。個々によって硬くなる度合いも場所も違いますが、この周囲の筋肉を緩めていくことで動きは緩和されていきます。
第2期に動かしていたか、動かしていなかったか、はとても重要です!
c.第3期(解凍期)
・主症状
制限が消失する時期です。つまり、可動性が再び徐々に増大してくる時期ですね。関節包の線維化はほぼ完全に解けていきますので動きが改善されていきます。
ある一定期間過ぎると緩ませれば緩ませるほど動く様になる時期がきます。ここまでくれば後は更に緩ませ続けるのみです。
・治療
引き続き、徒手療法+自身で動かすです!
3.治療で大事なこと
50肩の症状や、治療経過をまとめさせて頂きました。発症原因はわかってはいないものの、自然解快というのは良いことですよね。発症原因がわかっていないと言っても動きを制限しているのは確実に筋肉+結合組織です。
治療に際してのポイントは、50肩の改善を早めるのは動き制限をしている筋肉を特定することです。
私は、痛みの改善でも、可動域(動く範囲)の改善でも、目的はどうで合ってもその現象が起こっている原因を突き止めることから施術が始まると考えています。原因を突き止めずに闇雲に施術をすることはないですし、どの方も同じ方法で施術をすることもありません。
50肩の発症原因は明確ではないものの、あなたの求めていることは発症原因を突き止めることではなく、
・痛みを改善すること
・動き制限を改善すること だと思います。(ここで言う痛みは、筋肉が筋膜で引っ張られた際に起こる痛みです。第1期の炎症による痛みは施術では改善できません)
ですので、どこの筋肉を緩めれば動きが改善されるのかを筋肉一つ一つの単位で見ていく必要があります。
どこの筋肉が硬くなって動きが悪くなっているか、は一見同じ症状の様に見えても一人一人違います。
一人一人の身体に起こっていることを評価しその現象が起こっている原因を突き止め(ここで言う原因は、動きを制限している原因です)治療をしていくことがとても大事です。
50肩だからこの治療ではなく、あなたの動き制限はこの筋肉からきているからこの筋肉を緩ませる治療をぜひ受けてくださいね。
ご自分で治して行きたい方の為にセルフメンテナンス方法も載せさせて頂きます。あくまで一例ですので、ご自身の身体、制限を伴っている筋肉に沿ってメンテナンスを行ってくださいね。
・セルフメンテナンス
第2期から開始して頂いて大丈夫ですが、痛みを我慢してやらないで下さい。無理にやると結合組織を痛めることになり悪化する可能性がありますので、はじめはゆっくり・痛みが起き無いように + 効果を感じられる気持ちいくらいの感じで行って下さい。
力を入れて頑張る必要はありません。ゆったりとした気持ちで深呼吸をしながら行って下さい。下のメンテナンスは筋膜リリースを元にしたメンテナンス方法です。
(他筋肉は今後投稿予定です)
また、肩甲骨を動かす際のちょっとしたポイントもお伝えします。どこを支点にして動かすかによって動く範囲が変わってきますのでこちらの動画をご覧ください。
4.まとめ
つらつらと書いていきましたがまとめますと、
50肩は・・関節包性の凍結肩。
炎症を伴う為に、修復の為に組織の線維化が起こり動きが極端に低下する。その際に筋肉も硬くなり更に動きが制限される。原因は明確ではないものの、基本は自然解快されていくもの。
発症から改善まで三段階に分かれており、
第1期は炎症の為安静第一。
第2期は炎症が収まり修復工程が始まる。動きはまだ制限されているが動かし始める時期。
第3期は修復工程が終わり動く範囲が広がる時期。
改善を早める為には第2期から徒手療法・動かすことが効果的。
50肩は一旦なると痛い上に普通に生活できなくなるのでかなり辛い状況が続きます。ですが、良くなっていくものではありますのでケアを大事に改善を早めてみてくださいね。
fumi
参考文献:人体の張力ネットワーク 膜・筋膜ー最新の知見と治療アプローチ Robert Schleip et al./竹井 仁 |
お知らせ
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